平成27年4月に奈良高専情報工学科の井上一成教授が,ベンチャー企業を立ち上げました。
井上教授はこれまでに企業,大学を通して,ネットワークの経路制御に関する技術に従事しており,メモリという製造が容易なハードウェアで高度なルーティングを実現する技術開発に成功し,これまで多くの特許を取得してきました。
この技術による製品は,現在活躍するルータやスイッチに広く用いられているが,この方式は,大きな電力を消費するという重大な欠点を抱えており,機器の電力のうち,十パーセント以上を消費しているとのこと。近年,ネットワーク人口の増加や動画配信など高度な情報の通信によって,ネットワークの消費電力は社会や地球環境での大きな脅威になっており,ネットワークの省電力化を実現する新たな技術を開発し,市場へ投入することが求められていました。
従来,ITの主役は,PCほかスマホ,タブレットといった携帯型機器だったが今まさにテレビ,オーディオ,さらには車,ヒトとウェアラブル等,ありとあらゆるモノがエンドノード(端末機器)となって,一斉にネットワークに接続されようとしていいます。このような社会,産業界の発展において,通信技術の向上や利便性の追及とともに解決すべき課題があり,そのひとつが省エネルギーです。
社会基盤を支える通信技術の発展に相俟って,新会社では「価値を創造する省電力」を主たるテーマとした技術開発と製品化に取り組みたい,「すべてのモノがインターネットに」をキャッチフレーズとするIoTで活躍する様々な機器や機器間で効率的な省電力技術を製品開発し,これら企業活動を通じて,産業界や社会に貢献したいと,井上教授は静かにしかしながら力強く抱負を語りました。
電力化のためのトラヒックの負荷分散