K-§MART SEEDS集ポリシラン―メタクリル共重合体の合成によるケイ素系樹脂の機能化

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概要

ポリシランはケイ素-ケイ素結合で形成され、導電性や紫外域の吸収・発光をもつ。ただし、このポリマーは空気中で徐々に酸化するので実用化された例は少なかった。そこで、ポリシラン自体を光ラジカル重合開始剤に用いてメタクリルモノマーと共重合する手法の研究を行ってきた。研究開発の概要

従来技術
ポリシランをさらに機能化するためには、反応性官能基をもつジクロロシランを出発物質として用意する必要があった。しかし、ジクロロシランの合成は煩雑で難しく、その保存安定性も良好ではなかった。
優位性
メタクリルモノマーを通じて、様々な機能をもつ官能基を導入して、ポリシランを機能化することが可能である。また、合成法も複雑ではなく、大量合成も可能である。

特徴

ポリシラン自体を光ラジカル重合開始剤に用いてメタクリルモノマーと共重合する。この方法では、紫外線照射で発生したシリルラジカルを用いてメタクリルモノマーの重合を行い、かつ意図的にポリシランブロックを残存させることにより、ポリシラン-メタクリル共重合体を形成した。 アルコキシシランをもつメタクリレートとポリシラン共重合体を合成して、これと金属アルコキシドとのゾルゲル反応によりポリシラン-金属酸化物ハイブリッド物質を作製してきた。((A. Kobayashi et al., Jpn. J. Appl. Phys., 2002, 41, L1467、松川他 固体物理2002,37,19) アクリルアミドとの共重合体も合成し、新たな機能性を付与してきた(Y. Matsuura et al., Polymer, 2002, 43, 1549)研究関連設備

実用化イメージ・想定される用途
・ポリシランの発光機能を利用したダイオード
・ポリシランの光分解を利用したレジスト材料
・ポリシランの磁気抵抗効果を利用した磁気デバイスの作製
・ポリシランの光還元性を利用した金属ナノ粒子の合成
実用化に向けた課題
・光重合の際に凍結真空脱気を行う必要があり、この工程を回避できればさらに合成が簡便になる。

研究者紹介

松浦 幸仁(まつうら ゆきひと )researchmap

matsuura(α)chem.nara-k.ac.jp(α)を@に置き換えてください

研究者からのメッセージ

従来、あまり実用化されてこなかったポリシランを当該光重合法を用いてメタクリルモノマーで修飾すると実用化への可能性が大きく広がります。

研究キーワード

ポリシラン

メタクリルモノマー

光重合

レジスト材料

知的財産権

・特許4336853 屈折率パターンの形成方法 川崎真一, 藤木 剛, 大阪ガスケミカル株式会社, 松川公洋, 松浦幸仁
・特許5231710 金属微粒子と無機微粒子とを含む組成物およびその製造方法 藤木 剛, 川崎真一, 村瀬裕明, 坂本浩規, 田中雅士, 大阪ガスケミカル株式会社, 松川公洋, 松浦幸仁

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