
≪社会技術特論 専攻科2年生≫
奈良県が抱える重点課題を解決できるリーダーの人材育成のために、来年度から「TOMO地域創生マインド養成教育プログラム」が実施され、また、専攻科改組に伴うカリキュラム改訂が行われます。
それに先立ち、地域創生演習科目として、専攻科2年生において「社会技術特論」が平成28年9月30日(金)より全15回に渡ってオムニバス形式で進められる予定です。
専門分野の異なる学科教員や外部講師が講義や演習等を行い、技術者として社会に貢献することを目的として、地域の問題を解決することを課題に、多面的な課題解決提案能力を養います。
中間発表会や最終発表会には、行政・大学関係者・地域企業などをお招きして、コメントを頂く予定になっております。
≪講義項目・内容(予定)≫
週数 |
日程 |
講義内容 |
第 1週 |
9 /30 |
ガイダンス、チーム分け、下市町の調査 |
第 2週 |
10/ 7 |
下市町の調査(マインドマップの作成) |
学外研修 |
10/14 |
学外研修・下市町現地調査 |
第 3週 |
10/21 |
問題分析と課題設定(現地調査から見えてきた問題点をチーム内で議論) |
第 4週 |
10/28 |
発想法WS(大阪大学 大学院 ビジネスエンジニアリング専攻 上西啓介教授) |
第 5週 |
11/ 4 |
問題分析と課題設定2&中間発表会の準備1 |
第 6週 |
11/11 |
中間発表会の準備2 |
第 7週 |
11/18 |
特許についての講義(納谷特許事務所 平田裕子弁理士) |
第 8週 |
11/25 |
中間発表会 |
第 9週 |
12/ 2 |
問題解決演習1 |
第10週 |
12/ 9 |
問題解決演習2 |
第11週 |
12/16 |
問題解決演習3&最終提案発表会準備1 |
第12週 |
1 / 6 |
最終提案発表会準備2 |
第13週 |
1 /13 |
最終提案発表会 |
第14週 |
1 /27 |
個人による授業の振り返りまとめ |
第15週 |
2 / 3 |
期末試験と授業のまとめ |

奈良県吉野郡下市町との交流(2016年6月17日掲載)
地域の課題を解決するアイデアを出そう』~本校教員による地域創生授業が実施されました~(2016年2月3日掲載)
地域創生授業が始まりました(2016年1月25日掲載)
≪社会技術特論 3専攻共通 担当 藤田 直幸教授 ・ 谷口 幸典准教授 ・ 顯谷智也子COC+特任教授≫

ガイダンス、チーム分け、下市町の調査(2016年10月26日掲載)
平成28年9月30日(金)、『社会技術特論』が専攻科2年生全員を対象に開始されました。来年度より『地域社会技術特論』という科目名の変更を予定していますが、実質的には同内容の授業を今年度も行うため、本格的な地域創生演習科目が開始されたと言えます。
この日は、電気工学科 藤田教授による講義の概要説明と顯谷 智也子COC+特任教授からの授業ガイダンスが行われました。
まず、藤田教授から「地域創生に対して技術者は何ができるか?」を考えることの大切さについて説明があり、「工学と理学、技術と科学のちがい」について考えるミニワークショップが実施されました。学生はグループごとに意見を出し合い各々ホワイトボードに書き込んでいきました。「工学に携わる者は、技術を通じて社会に貢献することが大切である。科学は真理を追究するが、技術は人々の幸せを追求する。」という結論の中、学生たちに、地域創生を通じた社会貢献の学びの重要性が説明されました。
続いて、本講義のガイダンスを顯谷COC+特任教授が実施しました。理想と現実のギャップが「問題」であり、その問題を解決するための対象が「課題」であると、本講義における「問題」と「課題」についての言葉の定義の説明がありました。そして、本講義では、演習を通じて、課題を見つける力、課題を解決する手段を提案する力を養成することが説明されました。今回は、奈良県吉野郡下市町の「林業」・「農業」・「商業」の3つの産業が抱える問題をテーマとして、課題設定、課題解決をすることが説明されました。学生は学科の枠を超えて、これらの3テーマに対して、各2チームの合計6チームに編成されました。
10月14日(金)には、現地調査のため下市町を訪問いたします。
この現地調査の前に、10月7日の講義では、下市町について事前調査し、マインドマップという形に調査内容をまとめる試みがなされます。
このように、「地方創生とは何か、また地方創生に対して技術者が果たすべき役割とその重要性とは何か。」を理解し、下市町の抱えるニーズに対する解決策の作成を通じて、技術者が社会との関わりの中で、課題設定能力・課題解決提案能力を身につけ、実践できるように講義が進められる予定です。

学外研修・下市町現地調査(2016年11月8日掲載)
本年度後期の専攻科2年の授業である『社会技術特論』では、地域創生演習科目として、学生たちが地域創生を通じた社会貢献の学びの重要性を理解し、また、奈良県吉野郡下市町の「林業」・「農業」・「商業」の各産業が抱える実際の問題をテーマとして、技術者の立場からの課題解決策の検討に取り組んでいます。
今回の授業の一環として、10月14日に下市町を訪問し、現地調査を実施致しました。本調査では、下市町役場、並びに各産業の現場を訪問し、関係者各位より生の声をヒアリングするとともに、学生たちは各産業の実際の作業を体験することで、現場から解決すべき問題を発見する試みがなされました。
午前中は、下市町町役場にて、町が抱える問題について、高齢化における後継者問題や、空き家や休眠農地の問題などについて、説明を頂きました。
午後からは、林業・農業・商業班に分かれ、各産業の作業現場を訪問し、関係者より、各現場が抱える問題について説明頂き、学生からは活発な質疑応答がなされました。
○林業
吉野銘木様に訪問し、吉野の杉や檜などに対する説明を受けました。特に、吉野の樹木は樹齢が長く、先祖代々手入れの行き届いた森林があるからこそ太く、大きな材木の提供が可能であるため寺社仏閣やお城の高級建築材とし利用されているとのことでした。また、伐採した樹木の加工現場や保管の仕方、そしてモデルハウスも見学させていただきました。様々な木材によって適性があり用途によって使い分けることで丈夫で長持ち、あるいは部屋の温かみも変わるなど説明いただきました。技術課題としては、樹木の乾燥を制御するためのシステムや伐採する樹木の内部構造を簡易に測定する技術が求められていることがわかりました。
続いて今も手作りで吉野杉を使った「らんちゅう」型の割り箸を作り続けている頃橋銘木店様を訪問させていただきました。手作りでの割り箸づくりにも挑戦させていただきました。現在、流通している割り箸の多くが竹材で、大量生産品であることを教えていただきました。吉野割り箸は高級料亭などでも使われているようで日本の食文化の発展とともに割り箸の技法も種々あるようです。
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○農業
農業に関しては、菊井農園様を訪問し、柿栽培の現状について見学させて頂きました。午前中の町役場での説目で耳にはしていたものの、猪や鹿によって荒らされた畑の被害状況を実際に見てその深刻さを実感しました。この5年の間に猪の生息数がかなり増加しており、対策に苦慮している様子がわかりました。柿の収穫では、不安定な地面に脚立を立て、何度も上り下りしなくてはならず、トラックに積むまでの重労働となる様子を確認しました。
次に堆肥工場を見学させて頂きました。化学物質を使わない農業を推進しており、"おから"を原料として用いた堆肥を生産販売しており、評判は上々とのことであるが、製品になるまで2年かけて発酵させる必要があり、採算性の向上が課題であるという説明がありました。
最後に、菊井様が代表を務めるNPO法人による、農村における障害者支援活動内容の一端として、喫茶店における就労支援状況について説明頂きました。具体的ニーズとして、車いすによる接客の際の商品把持の安定化が課題となっているという説明がありました。 |
○商業
町役場のご担当者様の案内で、札の辻ステーションを訪問しました。ここでは、町の活性化を目指し、県外から募った人材によって10月下旬に下市町で初めてのパン屋がオープンされます。札の辻ステーションは、観光客が車で行きかう幹線道路沿いにあり、この新しい商業施設への集客が期待されることの説明がなされました。 また、松村酒造様に立ち寄り、現在は、ネットでの販売が中心ではあるが、町の活性化にはやはり町に人を運び込むことが重要であるとのお話を頂きました。 その後、創業明治15年の吉野葛の製造・販売されている吉田屋様が運営される「おばあちゃんのミニ博物館」を訪問し、葛菓子の手作りの製造方法をご説明頂きました。また、学生たちは実際に葛菓子作りを体験しました。
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今回の現地での調査、体験を学校に持ち帰り、技術者の観点から下市町が抱える問題を抽出し、課題発見・課題解決につなげていくとともに、これらのワークを通じ、学生たちが社会との関わりの中で、課題設定能力・課題解決提案能力を身につけ、実践できるように講義を進めて参ります。
お忙しい中、ご協力いただきました下市町役場様、菊井農園様、吉野銘木様、頃橋銘木様、吉田屋様、松村酒造様に感謝いたします。

平成28年11月25日(金)、専攻科2年生を対象とした『社会技術特論』で、中間発表会が行われました。奈良県吉野郡下市町の「林業」・「農業」・「商業」の各産業が抱える問題の解決をテーマに、産業ごとに2班ずつ合計6班の学生が、7分間の発表を行い、その後3分間の質疑応答を受けました。中間発表では、下市町の「あるべき姿」と「現状の姿」とのギャップを現在抱える「問題」とし、その問題を解決するための「課題」を発見、設定することを目指しました。各班は、マインドマップによる事前調査や現地調査での気づきを踏まえて、問題点を整理したロジックツリー(WHY)を作成し、その問題に対する課題を想定しました。さらに、グルーピングやペイオフマトリックスの手法を使って、課題の効果を検討し、最終的な課題を設定していきました。

(学生作成のペイオフマトリックス)
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(プレゼンテーションの様子)
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(担当教員からのアドバイスの様子)
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当日は、下市町役場 辻 英樹 様と林 力達 様をお招きして、また、Google ハングアウトによるネット配信を行い、下市町役場から松原 正城 様にも授業にご参加いただきました。

(下市町役場 辻 英樹 様)
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(下市町役場 林 力達 様)
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(下市町役場 松原 正城 様)
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下市町の皆様からは、下市町の実情を踏まえた上で、学生の課題設定に対してコメントをいただきました。具体的に、松原様からは、商業班に対して、「人口減少・人不足の解決策として人を増やすことを提案していただきましたが、住民を増やすのか外から来る人を増やすのかターゲットをどちらかに絞って検討していただきたいです。」とのコメントをいただきました。また、農業班に対しては、「鳥獣対策ではイノシシなどが食べない作物の改良等、鳥獣が畑に入らない方法を新たな視点からのアプローチで考えてみてください。」とのコメントをいただきました。林業班に対しては、「エンジニアが林業に興味を持つには、どうしたらよいか教えてください。」とのコメントをいただきました。
また、 辻様からは、「色々なご意見を有難うございます。学生の皆さんは問題を的確にとらえておられます。下市町においても高齢化は避けられない課題です。現在も地域の人たちと町に人を取り入れる体制づくりや魅力あるまちづくりに取り組んでいます。マイナスイメージはありますが、皆さんのアイデアで工学と人とをかけ合わせた解決を楽しみにしています。」とのコメントをいただきました。
さらに、林様からは、実際に鳥獣対策を担当しておられる立場から「イノシシなどを寄せ付けないことも大事ですが、鳥獣が増えることが根本的な問題でもあります。さらに、農家が被害にあい、やる気をなくして耕作放棄地が増えるといった問題も起こります。鳥獣対策から広がる問題についても考えていただければと思います。」と、コメントをいただきました。
さらに、地方創生推進事業(COC+)の協働機関である奈良女子大学 前川コーディネーターや奈良県立大学 増本 特任准教授にもご参加いただきコメントをいただきました。
奈良県立大学 増本先生からは、「各班レベルの高い、よくまとまった発表でした。次の解決策に向けて、担当教員からの意見をいただくと思いますが、地元の方からも意見をもらってフィードバックをはかる交流をしていただきたいと思います。」とのアドバイスをいただきました。
奈良女子大学 前川コーディネーターからは、「百聞は一見にしかず、と言うことわざのとおり、現地に行って課題に取り組むことが大切です。工学的に問題点を分析し、今後の工業的な課題解決策に期待しております。」とのお言葉をいただきました。
今後、それぞれの班が設定した課題解決に向けての取り組みがなされます。ますます、最終提案発表会に期待が高まります。

平成29年1月13日(金)、専攻科2年生を対象とした『社会技術特論』で、最終提案発表会が行われました。
これまでの事前調査や現地調査、中間発表会を踏まえ、奈良県吉野郡下市町の「林業」・「農業」・「商業」の各産業が抱える問題に対し解決策の提案を課題として、産業ごとに2班ずつ合計6班の学生が、厳密なタイム管理のもと7分間の発表を行い、その後3分間の質疑応答を受けました。
1)農業(鳥獣被害)に関する問題の解決
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目標・課題設定と提案 |
解決策・具体的な効果・検討事項等 |
質疑応答・コメント |
農業B2班 |
鳥獣対策の設備(電気柵)が不十分である点を発見し、資金・補助金が少ない点を考慮して、理想(鳥獣被害がゼロ)と現実(猪・鹿・鳥による止まらない被害)とのギャップから、畑に鳥獣を近づけない・入らせない・他の村に行かせないことを課題として、畑以上に魅力的な場所(集獣エリア)を作ることで「猪ベーティブ」を新規アイデアとして提案した。
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集獣エリアには、誘引物質である餌や猪の雌、そのフェロモン等を置き、猪を入りやすく誘い込み、柵と網を用いて、出にくく逃がさない構造の畑以上に魅力的な集獣エリアを設置することで解決策とした。

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猪の生態からかなり広範囲の罠(集獣エリア)が必要となることや集獣エリアに集めた猪をどうするのかが、さらなる問題として提起された。個体数を減らすことが大前提となる為、集獣エリアを罠として活用し、猟友会が処分することが議論された。 |
農業B1班 |
目標を「獣が畑を荒らさない」こと、課題を「猪・鹿を畑に入れない」こととし、代表的な「防護柵」・「電気柵」・「忌避剤」・「囲いワナ」の4つの獣害対策について調べ、それぞれのメリットとデメリットを比較した。コスト・薬品不使用等の制約条件を踏まえ、「防護柵」のメリットである高い耐久性と「忌避剤」のデメリットである持続時間の短さを補う組み合わせを新しい獣害対策として提案し、「カプサイシンの散布を行う機械」の設置を提案した。
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材料としては、スプレー噴出装置・ワイヤー・支柱・忌避剤で、金型の場合、安価に製造ができ実現可能なアイデアである。期待される効果としては、この罠を使用することによって獣を追い払うだけでなく、忌避剤そのものが土地に散布されるので、獣が人里を避けるように仕向けることが可能となる。例えば、猪が柵をまたごうとすると機械的に散布する構造で、電気柵よりも管理が容易なため農家の負担を低減することもできる。
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柵のばね力の部分に霧吹き状にスプレー噴出するボタンを押す仕組みの検討と設計図面が必要であることを認識した。現実的には、カプサイシンの散布はワイヤーを張り巡らすことになり、電気柵と同じ設置工事が必要となるため、もっと簡単に、獣を撃退する方法(レーザーポインターの使用等)の提案も考慮に入れる必要がある。

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2)林業に関する問題の解決
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目標・課題設定と提案 |
解決策・具体的な効果・検討事項等 |
質疑応答・コメント |
林業A1班 |
現地調査から箸職人の後継者がいないことを知り、その原因を箸の「生産数が限られている」点に注目し、「作業の効率化」を課題として、手作りの風合いを損なわずにボトルネックを解消することで、ブランドを維持しつつ生産効率を向上させることを目的とし、「木目の平行認識」と「箸型一発成型」の2つを 解決案とした。

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木目の平行認識は、木目を削る機械にカメラを取り付け、木目画像を得てデータ化し、あらかじめ準備しておいた基準線とのベクトル比較により、平行になった部分にLEDを点灯させ、木目の平行認識を行い、手作業で調整する。木目の色合い等の許容誤差の設定がモノづくりの際の検討事項としてあげられる。メリットとして、何度も木目を見ないでいいので効率がUPし(確認不要)、職人にしかわからない木目認識を機械が担うことができ、パートやアルバイトであっても誰でもできる(誰でも職人)。デメリットとして、自動二値化の手法が確立されていない等が挙げられる。
箸型一発成型は、新規性を出すために「高圧水蒸気処理により木材の圧縮成形」を行い、最終工程で、八角すいや十五角すいで丸みを出す部分を手仕上げにより風合いを残すこととした。これまで、四角すいをつくるのに2工程だったものが1つになるので効率UP(工程削減)し、一度の圧縮で複数本加工できる(複数加工)メリットがある。デメリットとして、木材の軟化処理が必要となる可能性等が挙げられる。
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高級箸を百貨店等に卸す際に「木目がゆがんでいる」、「色合いが悪い」という理由で欠品として返品が発生する。この「木目の平行認識」と「箸型一発成型」の技術が本当に精度の高いものであれば、非常に役立つので、アイデアを商品化した際のコストの算出や箸生産数が増加した場合の箸需要量を増加させる方法についても検討して頂きたい。

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林業A2班 |
町おこしとして下市町の林業、特に吉野銘木様が抱えている問題に焦点をあて、質の良い木材を販売するために「木の買い付け」段階でおこる金銭的な無駄を解消するための解決策の検討を行った。原木の腐敗や割れ、空洞などの内部状態を調査するために複数の分析方法の選別を行った結果、原木の欠陥調査方法をX線回析、超音波、電気パルスの3つの測定装置から選び、その3つに木を挟み込むタイヤを用いて、枝打ちロボットに運搬させながらデータを検出する「X線+枝打ちロボット」・「超音波+枝打ちロボット」・「電気パルス+枝打ちロボット」の3つの検査機器を提案した。
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「X線+枝打ちロボット」・「超音波+枝打ちロボット」・「電気パルス+枝打ちロボット」それぞれについての運用方法を説明した上で、メリット・デメリットを示し、3つの欠陥検査方法の利点・欠点を理解し、状態に応じて使い分けるべきであるとまとめた。
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必ずしも生えている木自体を測定する必要がないのであれば(横倒しになった木)、木の内部状態をCTスキャンできるX線が有効である。
木材の品質を非破壊検査で内部まで判定することで、目利きのできる人できない人によっておこる木材の売買リスクが減る。この技術ができると木材事業に大きな革命となる。
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3)商業に関する問題の解決
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目標・課題設定と提案 |
解決策・具体的な効果・検討事項等 |
質疑応答・コメント |
商業C2班 |
下市町に"人がいない"という解決案として、「断食ツアー」の決行に決定した。その理由として、関西圏に「断食ツアー」を行っているところが少ないことや下市町の特産物である梅や葛が断食に適していること、また、断食による心理的ストレスをヒノキや杉を使って、和らげることをあげた。檜油のリラクゼーション効果でコルチゾールが低下することや樹木精油が持つ自律神経系調整作用があることなどを実際の報告例を用いて説明し、断食によるデトックス作用から老化や化学療法の副作用でダメージを受けた免疫システムを再生し、新しい免疫系をつくることがマウスにより証明され、さらに、マウスの寿命が延びたことでその効果を裏付けた。
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下市町で行うメリットとしては、豊かな自然と特産物による豊富な食料、材料調達があげられ、「断食ツアー」には外国人や日本人、特に女性(ファスティングダイエットが人気であることから)が訪れることを予想し、"人がいない"ことへの解決とまちの活性化につなげた。さらに、「断食ツアー」を仕事とした場合、力仕事や長時間勤務でないため、スタッフは年齢制限なく採用できることや宿の確保として空家の活用ができる点などのメリットもある。
検討事項として、交通アクセスが不便、新しい規格のためPR不足などがある。また、年中とれる特産物の確保があり、葛は年中とれるが、梅や柿は季節限定とすることで、季節によってレシピを変えるなどで対応する。さらに、ヒノキ、杉の材料調達および商品づくりなどが挙げられる。これにおいては、箸作りで不要となった材料からオイル抽出ができるので、このオイル抽出方法やヒノキのアロマ製造法などを技術的観点からアプローチできればと考えた。
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今後、具体的なリラックス効果等について、ヒノキなどを一つずつ科学的に分析する必要がある。また、「断食ツアー」で下市町に来てどうなるか・どうなれるか等の観光イメージをキャッチフレーズで考えてくれたら、観光やまちづくりへとつながる。

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商業C1班 |
森林資源が豊富と職人として栄えた町を活かした上で、木材を安価もしくは無料で提供し、職人のたまごともいえる芸術・美術・工業系の学生参加を促し、「木工×アートの町」を町おこしの方針に決めた。

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下市の観光地として、誰でも製作できる「木工製作場」・製作物の展示場である「森の美術館」・完成度の高いものを町に配置する「木工ロード」・従来の観光地にもオブジェ追加することで、物を売るのではなく、製作品とその過程を下市町の財産することで、みち・町自体をアートにして地方創生を行う。「名産品は売らない。町が名産へ。」を新キャッチコピーとして、PR活動をし、いま注目が集まっているPR手法であるネットによる情報拡散力を説明し、それを活用して「1年生から4年生までの過程」「芸大の作品の成長」や「こんな木材がこんな風になりました」など自由度が高く色々な運用ができるのでイノベーティブなポイントになると考えた。
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まち全体がアートで、一つのテーマがあってそれがまちの色となって統一性を持つことで観光資源になる。今後は、事前研究を行い似たようなものとの差別化が必要である。 |
学生は、この授業を通じて「農業」・「林業」・「商業」を次の世代に伝承することで、例えば、職人の目で、10年かかる目利きの技を科学・工学的技術が担うことで、地域や日本文化を守ることにつながっていくことを知りました。「地方創生とは何か、また地方創生に対して技術者が果たすべき役割とその重要性とは何か。」を下市町の抱える実際の問題をテーマとして、技術者の立場からの課題解決策の検討に取り組むことで意義深い最終提案発表会となりました。
当日は、下市町役場から松原様と林様をお招きして、また、Google+グループ ビデオハングアウトによるネット配信を行い、下市町役場におられる辻様と菊井様にも授業にご参加いただきました。また、奈良女子大学から藤原先生をはじめ3名が参加し、奈良高専からも多くの教職員が、学生の成果を見るために参加しました。
ご視聴・ご協力ありがとうございました。