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地域創生事業

令和5年度地域創生理解科目「地域と世界の文化論」における特別講義

 専攻科2年選択必修科目「地域と世界の文化論」(担当教員:松井 真希子 講師)は、多様化する社会の中で自身の立脚点を確立することを目的として、人文学の観点から文化の伝播や交流の様相を歴史的に概観すること、また、様々な地域の歴史と文化の理解を通じて、地域と世界を同時にみつめていくことの重要性について理解することを目的に開講しています。授業のテーマに応じて、外部の方を特別講師としてお招きし、オムニバス形式の講義を実施しています。

 

【奈良女子大学 寺岡 伸悟 教授による特別講義】
 令和5年7月11日(火)、奈良女子大学 研究院人文科学系人文社会学領域 寺岡 伸悟 教授により、「社会と工学の接点 社会技術開発と地域文化」と題して、特別講義を実施いただき、学生13名が受講しました。

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 講義では、奈良県吉野郡下市町栃原地域の抱える課題に関して、社会学者として分析を行い、工学系技術を活用した解決方法に地域住民と一緒に取り組む事例について、説明がありました。人口減少や高齢化に直面する地域の分析では、地域住民が予想していなかった実態が可視化されるなど、新たな気付きを得たことが紹介されました。

 講義内では、現状や分析の説明を受けた学生が、自由な発想で課題解決方法を話し合う時間が設けられ、全専攻の学生が混ざる授業ならではの、様々な視点による意見の発表があり、授業全体で新たな気付きを得られる機会となりました。講義の最後には寺岡先生より、技術で一次産業を元気にすることは、実感を伴う成果を得られるため、是非今後も挑戦して欲しいという言葉で締めくくられました。

 

【奈良県立大学 窪田 暁 准教授による特別講義】
 令和5年7月4日(火)、奈良県立大学 窪田 暁 准教授により、「グローバル化時代における異文化理解とは?-多民族化する日本と「○○文化」の葛藤-」と題して、特別講義を実施いただき、学生13名が受講しました。

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 講義では、「文化」とはなにか?、他者を表す○○文化、○○文化が生まれる理由、変化する「文化」等、様々な観点から捉える「文化」について説明がありました。「文化」とは、その時々の歴史や政治、経済等様々な要素に影響を受けながら意味付けされた相対的なものであるとの説明を受けながら、掴めそうで掴めないもの、次の瞬間には異なる線が引かれているかもというような印象を受けました。

 講義の最後に語られた、問いも答えもどんどん変容し、自分自身も変化する中「変化することを恐れない」、「主体的に生きる」という点は、学生生活だけでなく、今後の職業観、人生観においても重要な点だと感じ、大切にして欲しいと思います。

 

【奈良女子大学 大和・紀伊半島学研究所 前川佳代 協力研究員による特別講義】
 令和5年6月13日(火)、奈良女子大学 大和・紀伊半島学研究所 古代学・聖地学研究センター 前川 佳代 協力研究員により、「奈良の古代菓子文化を古代スイーツとして現代に~まほろばの味、甘葛煎(あまづらせん)再現~」と題して、特別講義を実施いただき、学生13名が受講しました。

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特別講義 甘葛煎の原料のナツヅタが見えます

 講義では、奈良の地に残る古代・中世の菓子文化や、その古代菓子文化において代表的な甘味料である甘葛煎が紹介され、また、幻の甘味と言われた甘葛煎の再現プロジェクト実験について、多くの写真や結果・考察を交えて語られました。

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甘葛煎(樹液を煮詰めたもの) 絡みつくナツヅタ ナツヅタ近影

 甘葛煎は、古代日本から唐の皇帝に献上されており、唐へ至る船旅の間1年余りも保存が効くなど、製造等に関して古代人の知恵や技術が詰まったものとなっており、薫物や貢進物としても使われ、貴重な品であったことが資料等から読み解けることが紹介されました。このような歴史的に日本人に食されてきたものを見つけ出し、先人の考えを考察しながら現代の食に取り入れ、食と文化を未来へと繋げてくという考えは、技術者・研究者を目指して工学を学ぶ学生にとっても必要な視点と感じる講義でした。
 講義の最後には貴重な甘葛煎を味見させていただく機会も得て、甘みが口の中でスッと消える体感や採取した場所による風味の違いの体感なと、非常に貴重な体験も伴った講義でした。

 

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