近年、全国的に荒れ果てた山林が目立ち、国土の多くを山林が占める我が国にとって山林の管理は大きな課題となっております。特に山林の多い奈良県では主要産業の一つである林業の活性化が喫緊の課題となっており、このような実情を危惧された奈良市の上田技研産業株式会社様では、特に管理が行き届いていない間伐材を中心に、伐採現場から運搬可能なふもとまで原木を運ぶ低コストで簡易な『木材運搬システム』(該社での呼び名:スネークライン)の開発を進められており、林業活性化に向けた一歩を踏み出しておられます。
この『木材運搬システム』を一例に、林業活性化に向け、「今、私たちは何をなすべきか」をテーマに県内の林業関係者が集い自由な意見交換を目的に、当運搬システムを上田技研産業様と共に開発検討されている株式会社・斑鳩様(奈良県生駒郡斑鳩町)の会議室において9月1日(金)『森林フォーラム』が開催されました。
COC+事業の一環として地域産業の発展に貢献すべく農工連携等の各研究テーマに取り組む奈良高専では、奈良県の主要産業の一つである林業の活性化をCOC+事業の重要テーマの一つと位置付け、県内林業関係者と情報・意見交換を通じた交流を深める目的で当フォーラムに参加しました。
冒頭、斑鳩町長 小城利重様よりご挨拶があり、出席者の自己紹介が行われた後、当フォーラムを企画された上田技研産業 上田社長から林業活性化に向けた熱い思いにつきお話があり、その後、参加者全員で自由な意見交換が行われました。
本校物質化学工学科 中村秀美教授より、本校の地方創生推進(COC+)事業の取り組みや木材に関連する研究テーマ等について紹介いたしました。木を構成する繊維をナノレベルまで細かくほぐすことで生まれる最先端のバイオマス素材であるセルロースナノファイバーの話など、今世の中でホットな研究テーマなどに大きな関心が集まりました。
地球環境の維持、県内産業の活性化の為にも林業の復興は重要課題であり、工学的な側面から地元林業に対しどのような貢献ができるか、今後も県内林業関係者、県内自治体等と連携し、林業復興に向け可能性を探ってまいります。