
平成29年5月22日(月)、『地域理解資料室』(仮称:現LR・談話スペース)において、特定非営利活動法人 ならゆうし 理事 春田 千尋 氏を講師にお招きして、「NPO法人の機能と、地方におけるエンジニアの可能性について~ならゆうしの事例より~」と題して、「社会科学特論」(担当教員:竹原 信也准教授)本科5年生選択必修者を対象にご講演いただきました。
春田理事には、『地域理解資料室』(仮称:現LR・談話スペース)キックオフイベントとして、特別講演会(2017年3月31日)を開催した際にもお話をいただき、地方創生推進事業(COC+)の一環として、若者の地元定着を課題とした新たな知見獲得にご協力いただいております。

(担当教員 竹原 信也准教授)
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(特定非営利活動法人 ならゆうし 理事 春田 千尋 氏)
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前半は、まず、これまでの授業を踏まえ、担当教員の竹原准教授から自由・平等・友愛を頂点とする「ペストフの3角形」を用いて、人がつくる組織を3つの軸で分類し、政府・企業・共同体の3つの組織が交わる三角形の中心に第三セクターとしてNPOがあることを示し、そのNPOの役割をならゆうし様に実体験を踏まえつつお話いただき、地域社会における技術者の意義・役割・期待について、学生とディスカッションを交えながら行うことや地域政策における主要なアクター(住民・住民団体、NPO、企業、行政等)とその機能についての説明を行いました。
つぎに、春田理事から自己紹介があり、特定非営利活動法人(NPO法人)について、「NPOの収入源」や「NPO事例」を実際のNPO法人の活動を紹介しながら説明いただきました。
そして、「奈良県の持つ様々な数値」を例に挙げられ、奈良の現状を説明されたうえで、「ならゆうしが目指しているビジョン」として、「実践型インターンシップ」の提案をなされ、NPO法人の立場で行う事業の意義を述べられました。
さらに、「これからの奈良県に起こりうること」として、以下の3つをあげられ、「限られたメンバー(県民)でコミュニティを継続していくには」、地域政策における主要なアクター(住民・住民団体、NPO、企業、行政等)において、解決策が問われていると述べられました。
少子高齢化によるシビアな人材不足 |
市町村合併 |
伝統、地場産業の衰退 |
そのうえで、実際に行われている解決策として「地域×エンジニア」として、以下の3つの地域政策における主要なアクター(住民・住民団体、NPO、企業、行政等)の活動をあげ、
企業(SBドライブのIOT事業の例) |
行政(ITしまね開発支援ツアー!海士町(あまちょう)の例) |
NPO(ならゆうし 松田 麻由子氏の例) |
「地方で生きることに興味がある人へ」向けて、
1. |
まずは、自分の地域の働き方を知る。 |
2. |
小さな事でもいいので実体験する。 |
3. |
その上で、今学ぶべきことを組み立てる。 |
ことの重要性を投げかけられました。
「この3つを早いうちに、できれば学生のうちに知り、実体験し、学ぶことで知見として広げていければ、どんな社会にも対応していける人材として生きていけるのではないでしょうか。」と述べられました。
その後、学生からの質疑に、春田理事から丁寧な応答をいただく場面も見られました。
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前半の講義で、学生はNPOには政府・企業・共同体に学び、それぞれの欠点を補う役割があることを知りました。
後半は、学生が5人1組となり、A・B・Cの3つのテーマに取り組むグループワークが行われました。各班は、10分間テーマについてディスカッションをし、ボードに書きまとめ、代表者が1分間の発表を行いました。
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(地方創生推進事業(COC+)経費により購入した「ホワイトボード」等は、地域創生授業を実践していくために活用されています。) |

A. |
「奈良において技術者(的素養をもった市民)はどのような貢献ができるか」 |
B. |
「奈良でやってほしい、やってみたいNPO活動」 |
C. |
「奈良にこんなこと・ものあったらいいのに~若者の視点~」 |
すべての班の発表を終え、春田理事から学生へ対してそれぞれに丁寧なコメントをいただきました。
(代表学生による発表の様子)
春田理事は、「どの班も素晴らしいアイデアです。実は、既に奈良ではいろいろな人がいろいろな事をしています。その中に、ショッピングモールや企業・サークル・学生活動等があり、興味があればそこに加入したり、そこと連携したりして、今の学生の立場で自分は何ができるのかを考えてみてください。そうすることで、未来を見つける材料になると思います。」と、エールをおくられました。
竹原准教授は、「A・B・Cそれぞれの視点で考えてくれて有難うございます。春田理事のお話から既にある団体や活動がたくさんあることがわかりました。私たちは、それを知ることのできる仕組みが必要であることに気が付きました。いろいろな刺激を受けたと思います。」と、結ばれました。
この特別講義を通して、「奈良県の中で若者が挑戦する機会をつくり、地域の未来を考えながら、自ら人生を切り拓く人材育成を進めたい。」という、ならゆうし様の活動の思いに触れることで、学生は、地域政策における主要なアクター(住民・住民団体、NPO、企業、行政等)とその機能について学び、地域社会における技術者の意義・役割・期待について考える好機となりました。
(担当教員:竹原 信也准教授)
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特別講演終了後に、提出されたプリントには、NPOについて「仕組みを何となくつかむことができた」「身近に感じられた」「企業よりも自由な活動ができるメリットがある」「多くの企業や地域とのかかわりがあって驚いた」「企業への就職ではないということが新鮮だった」「社会のニーズにあわせ、社会を良い方向へ導く重要な法人である」等の感想が学生から寄せられました。中には、地域とエンジニアの関わりやインターンシップの重要性、社会貢献や奈良県に関心を示す感想も多く寄せられました。
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『地域理解資料室』(仮称:現LR・談話スペース)キックオフイベントとして、特別講演会を開催しました。(2017年4月10日掲載)