近年、全国的に荒れ果てた山林が目立ち、国土の多くを山林が占める我が国にとって山林の管理は大きな課題となっております。山林の多い奈良県においても同様であり、このような実情を危惧された奈良市の上田技研産業株式会社様では、特に管理が行き届いていない間伐材を中心に、伐採現場から運搬可能なふもとまで原木を運ぶ低コストで簡易な『木材運搬システム』(該社での呼び名:スネークライン)の開発を進められております。
この『木材運搬システム』における諸課題につき該社から本校に技術相談があり、これまで意見交換を重ねてまいりました。
当『木材運搬システム』(スネークライン)は簡易なレールを山中の運搬ルートに設置し、その上をトロッコタイプの運搬車が木材を載せて移動する仕組みです。検討課題として、重い木材を載せて山の斜面を下るトロッコの過剰スピードを制御する仕組みや設置レールの安全な固定と作業期間が終了した後の手軽な撤去の双方を両立させる構造などが挙げられます。
該社では、当運搬システムの実用性を検証するため、県下数か所の山林で実際に当運搬システムを仮設し、実証実験を繰り替えしながら改良を重ねてこられました。
平成29年5月12日(金)には、奈良県吉野町の急峻な山林に設置された実験用の「スネークライン」の現場に、これまで当運搬システムの製作に協力されてきた県内企業様、自治体様など関係者が集い、本校も参加し、今後の課題等につき検討会が行われました。

≪木材を積んだ運搬用トロッコ≫
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≪急峻な運搬ルートに設置されたレール≫
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≪木材を積み込む際のクレーン≫
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≪検討会風景≫
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今後も本校が適宜技術的アドバイスをさせて頂きながら、「スネークライン」の実用化を後押ししてまいります。
該社の上田社長は国内林業、特に地元奈良県の林業活性化に熱い思いを抱いておられ、シンプルで画期的な『木材運搬システム』が実現できれば、奈良県の主産業の一つである林業から地域活性化・地方創生へ弾みがつくものと期待されています。