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平成29年度 スイッチング電力変換機器の開発人材育成ベーシックコースの実施の様子(第7回)

【9月3日】

第7回講義は、前半を大講義室、後半を電気工学基礎実験室で実施しました。

①今後の流れについて確認

はじめに、石飛准教授から「この講座も本日で第7回目を迎えました。今日からの残り3回で、2人一組となって実際にIHインバータを設計・製作し、その評価を行います。最終日には、スペシャル講師をお招きして、パワーエレクトロ二クスの今後の課題と展望についてお話いただく予定です。」と告げられ、早速、座学が開始されました。

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(石飛准教授による座学)

IHインバータ(Induction Heating Inverter)とは、電磁誘導による誘導電流を利⽤して加熱を行う装置で、家庭用のシステムキッチンやオール電化等をイメージしますが、業務用厨房に多く使われており、自己加熱により、安全、クリーン、そして経済的な加熱パワーで、工業加熱、産業用途など多彩な分野に活用されていることを紹介されました。

そして、「私たちは、SEPP回路を使ってIHインバータを設計・製作し、家庭用IHクッカーと同様の原理で、自動販売機の缶コーヒー加熱装置をつくります。最終日には、皆さんでホットコーヒーを飲みましょう!」と、石飛准教授から投げかけがありました。

IH装置に求められる性能と具体例について、東京海洋大学 木船准教授の公聴会資料を用いて、詳しく説明されました。これを踏まえて、設計条件/制約を示し、設計・製作の流れを伝えました。

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② IH負荷の製作と測定

今回は、負荷の製作を容易にするために、リッツ線によるコイルをソレノイド型コイルとして、ペットボトルに巻いてIHコイルを製作します。

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(聴講の様子)

石飛准教授から「太いペットボトルと細いペットボトルでは、どちらが加熱しやすいでしょうか?巻き数は自由ですが、たくさん巻くとインダクタンスは大きくなりますが、配線抵抗も大きく、線間で部分放電も起こります。すぐに温まると危険なので、少し時間をかけて加熱するように設定してください。」との注意事項がありました。そして、受講生は、インピーダンスアナライザとLCRメータでIHコイルのインダクタンス/抵抗を測定する為に、電気工学基礎実験室へ移動しました。

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(ZGA5920 インピーダンスアナライザ)

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(LCRメータ)

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(電気工学基礎実験室での様子)

③ パワー回路の設計 ④ 駆動回路の設計

石飛准教授から「太いペットボトルと細いペットボトルのどちらでも、缶コーヒーが温まるように設定していますが、巻き方や設計の仕方は、自由ですので、カットアンドトライで実際に巻いて測定して、試行錯誤を繰り返して理想に近づけていただきたいと思います。」とのエールが送られました。受講生は、インバータの回路定数を設計する為には、"キャパシタの値はどうする?""スイッチングデバイスはどれを選択する?""ソフトスイッチングを達成するにはどんな値を選べばよい?"などデータシートを利用して検討しました。

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(4つの線材の構造を説明し、線を選ぶ時のポイントを教示する様子)

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(ペットボトルに線を巻き測定する様子)

そして、いきなり深く考え込まずに、SEPP回路全体の動作をPSIMでシミュレーションしてみました。"ターンオン/ターンオフともにソフトスイッチングが達成されているか?""ブートストラップ回路は正常に動作しているか?""Duty幅を変えても正常に動作している?""出力電力(抵抗にかかる電力)は100W以上であるか?"をポイントに動作させ"ゲート信号""スイッチ電流""出力電流""中間点電圧"のそれぞれで電流電圧のきれいな波形が確認できるようにMOSFETやキャパシタを選択しました。

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(熱心に質問をする受講者の姿も見られました)

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(SEPP回路全体の動作をPSIMでシミュレーションする様子)

最後に、石飛准教授から「来週は、ソフトスイッチング用ロスレススナバの設計をしていきます。本日、一つの模範解答としてパラメーターを出しましたが、皆さんがいろいろ考えて設定していただいたもので実証していただければと思います。本日は、お疲れ様でした!」と、結ばれ第7回講義も平穏無事に終了いたしました。

 

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